マンション管理の新しい手法 その2
「ある管理組合での物語」
第1回「ありがちなトラブル」
一本のメールから、相談は始まりました。
それは、あるマンションの管理組合の理事長(Bさん)からでした。深刻な内容だったため、電話で簡単に内容を聞き、後日、そのマンションの集会室で、理事会に参加しました。
Bさんは、詳しく説明してくれました。
築15年、130戸の管理組合で、長期政権の理事長(Aさん)に金銭的な疑惑、業者との癒着の疑惑が生じたのです。
Aさんは、今から10年前、輪番で理事になりました。そして、管理会社の業務がいい加減なことに驚き、管理の中身を調べました。すると、数年後の大規模修繕工事の資金が不足する可能性があることを知ります。
ところが、Aさん以外の理事会メンバーは、やる気がなく、協力を呼びかけても、反応がありませんでした。
そこで、ひとりで、管理全般を見直し、節約に努めました。さらに、事情を説明した上で修繕積立金の値上も実施しました。結果、大規模修繕工事を実施できました。借入れも一時金の徴収もなく、無事に工事は完了しました。
しかし、大規模修繕工事を依頼した工事業者は、Aさんの知り合いからの紹介であり、その関連性を疑われてしまったのです。また、それまでの改革もかなり強引に進めていたため、一部の区分所有者には反感も買っていたのです。
そして、Bさんら意欲的な数名が理事になり、Aさんと業者について調査をしましたが、決定的な証拠はつかめなかったものの、多くの区分所有者は、Aさんと業者の癒着は、事実だった、という認識を持ったままでした。
そして、「怪しまれるようなことをする人が悪いのだ。」という雰囲気が残りました。
その後、Bさんたちは、運営全般を見直し、熱心、かつ、慎重に運営を進めました。
それは、Aさんのような間違いをしないため、そして、周囲からの疑惑や苦情を避けるためでした。
彼らは、話し合いを繰り返し、理事会で納得してから実行しました。
しかし、素人による管理組合の運営において正解を出し続けることはできない上、価値観の多様化しているため、常識や好みには大きな違いが存在します。そのため、様々な業務に対し、Aさんからのクレームが続いたのです。
クレームは文書で届き、期日を区切って返事を要求するものでした。
担当ごとに理事会メンバーが懸命に対応しました。期日までに妥当な結論を見つけ出し、Aさんに回答しました。しかし、Aさんは、豊富な経験や知識を持っていますから、理事会メンバーの回答に、多様な角度から疑問を投げかけてきます。
多くの質問に答えていくと、どうしてもほころびが出てきます。Aさんは、ここぞとばかりに、ほころびを徹底的に追及してきます。
このようなパターンを繰り返すため、理事会メンバーの対応は、時間的、精神的プレッシャーを伴うものになりました。
ついに、困り果てた理事会メンバーは、全員で辞任することを考え始めるところまで、精神的に追い詰められました。
以上が、相談の大筋です。
※今日は、ここまでです。
いかがでしょうか?
過去、管理組合の活動が低調だった時期から、たった1人で、がんばってきた理事長(A氏)さんですが、思わぬところで、悪者にされてしまいました。
これは、よくあるパターンです。長期政権に対する疑問というのは、調べる頃には、時間が経過しすぎていて、事実の確認と整理が難しくなってしまいます。そのため、モヤモヤが残ってしまうのです。
次回は、相談を受けたマンション管理士の提案から始まります。どうぞ、お楽しみに。
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